HOME » FUTA・Qメルマガ » 小径パイプ・ワイヤー » vol.63 ステンレス鋼の引抜き加工による硬さ調整

vol.63 ステンレス鋼の引抜き加工による硬さ調整

vol.63 ステンレス鋼の引抜き加工による硬さ調整

ステンレス鋼には様々な種類があります。今回のメールマガジンでは、お客様からの引き合いが多い、SUS304、SUS316およびSUS316Lにおいて、加工条件で調整することのできる引張強さと硬さについてご紹介します。

■ ステンレスの成分

SUS304は18-8ステンレスとも呼ばれ、食器のような日常品から最先端の医療機器にいたるまで、広く使われるポピュラーなステンレス鋼です。SUS316はモリブデン(Mo)を添加し、ニッケル(Ni)比率を上げて耐食性を向上させた合金です。SUS316Lは、SUS316の炭素(C)含有量を低下させることでさらに耐食性を高めた合金です。

名称/元素炭素 (C)シリコン  (Si)マンガン (Mn)クロム (Cr)ニッケル (Ni)モリブデン (Mb)鉄・その他
SUS3040.08%以下1%以下2%以下18~20%8~10.5%残部
SUS3160.08%以下1%以下2%以下16~18%10~14%2~3%残部
SUS316L0.03%以下1%以下2%以下16~18%12~15%2~3%残部

■ 加工時の機械特性(引張強さ・硬さ)の変化

SUS304、SUS316、SUS316Lは、機械特性が若干異なります。また、ステンレス鋼は加工硬化を起こし易く、冷間加工によって機械特性を大幅に変化させることができます。例えば、丸棒やパイプを引抜き加工で縮径させることで引張強さや硬さが高くなります。下のグラフは焼鈍したパイプを引抜き加工したときの引張強さと硬さの変化を測定したものです。SUS304は3種類の中でも最も加工硬化を起こし易く、引張強さや硬さを高くすることが可能です。例えば、引抜き加工率が50%近くになると400 Hvを超えるビッカース硬さを示しています。

引抜き加工時の様子
抜き加工時の様子

引張強さと引抜き加工率(減面率)
ビッカーズ硬さと引抜き加工率(減面率)

PDFはこちら

提案型金属加工 お問い合わせ