フェムト秒レーザー 加工
フェムト秒レーザー 加工
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フェムト秒レーザー受託加工
フェムト秒レーザー加工の特徴は、超短パルスレーザーを使用するため、材料に与える熱影響を極限的に抑えた加工ができることです。また、ガラス系材料などレーザー光を通すクリアな材料では、焦点をコントロールすることで、その内部にミクロンオーダーの微細加工ができます。
FUTA・Qでは、超短パルスレーザー加工機(フェムト秒・ピコ秒)を用いて、 材料の姿勢やレーザー光の焦点位置を精密にコントロールすることで、 様々な材料に、様々な深さや形状で、精緻な溝や穴、凹凸を付与すること ができます。
フェムト秒レーザーとは?
フェムト秒レーザー(Femtosecond Laser)※は、極めて短いパルス幅で発振されるレーザーのことです。
※1フェムト秒(fs)=1兆分の1秒(10-15秒)
非常に短いパルス幅によって、微小な加工領域に瞬間的に強いエネルギーを集中し、周辺に及ぼす熱影響を抑えたレーザー加工を行うことができます。
フェムト秒レーザー加工のイメージ
レーザー加工機の比較
種類 | 連続発振レーザー | 超短パルスレーザー |
---|---|---|
レーザー波長 | 近赤外線 | 近赤外線、可視光線、近紫外線 |
パルス幅 | 連続波 | フェムト秒〜ピコ秒 |
最小加工径 | φ0.05mm〜 | φ0.01mm〜 |
最大加工深さ | 〜数mm | 〜0.1mm |
集光角の影響 | 片側5°前後 | 片側5°前後 |
機材への熱影響 | あり | 微小 |
FUTA・Q Technology
あらゆる材料、多様な形状、微細加工の豊富な実績!
広範な材料への適用
フェムト秒レーザーは金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、半導体など、さまざまな材料に適用できます。
加工実績材料例
金属系 | 非金属系 |
---|---|
SUS304、SUS316 (L)、SUS630 純チタン、NiTi、Ti-4AI-22V、Ti-15Mo-5Zr-3AI、モリブデン、窒化珪素銅合金系、タングステン | 石英ガラス、サファイヤガラス、PLA(ポリ乳酸)、シリコンウエハ、PEEKCFRP、PoLymide、PoLyamide、ITOフィルム、合成ダイヤモンド ZrO2(ジルコニア) |
「フェムト秒レーザーで、どんなものが加工できるの?」
お客様にイメージいただけるように、加工事例を紹介します。
#レーザー顕微鏡や電子顕微鏡を用いて観察しています。
フェムト秒レーザーを用いた加工事例
FPC基板のフェムト秒レーザー加工
FPC基板に対し、フェムト秒レーザー加工機の特徴を生かした加工を行いました。
極小「麻雀牌」
フェムト秒レーザー 諸元 | 波長 | IR ・ G ・ UV | |
---|---|---|---|
スポット径 | 10μm | パルス幅 | 360fs |
出力 | 平均20W | 周波数 | 10~100kHz |
● 5μmカット
まずは、表面のポリイミド層を5μm削りました。
加工深さはミクロン単位で制御でき、刻印の様な加工を行うことができます。
● 15μmカット
もう少し削り進めていくと、レーザー集光角度が溝側面に確認できるようになります。
入射側>奥側 のテーパー状になり、わずかに寸法差が生じます。
● 25μmカット
次に、次層の銅箔すれすれまで削りこみました。
フェムト秒レーザー加工で、部分的な剥離が行えることが確認できます。
● 両面穴加工
最後に、クラッド材の貫通加工を行いました。
材質を問わず、また両面からの穴加工ですが、高精度に仕上がっていることがわかります。これにより、集光角度の影響を極力抑えた加工が可能です。
ポリイミドフィルムへの微細穴加工
- ・0.05mm厚のフィルムに対する、穴径Φ約10μm、穴ピッチ約30µmの微細穴加工事例です。
- ・レーザー顕微鏡を用いて穴径やピッチを確認し、加工条件の適正化を行っています。
SUS板への微細溝加工(ナノ周期構造)
- ・表面にサブミクロン幅、ピッチの溝構造を形成した加工事例です。
- ・溝の加工角度を変えており、円板には綺麗な模様が見ることができます。
- ・電子顕微鏡(元素分析機能付き)を用いて微細加工の状態を確認し、加工条件の適正化を行っています。
「フェムト秒レーザー加工と電子顕微鏡測定」MOVIE
SUS製パイプへのランセット針先加工
- ・外径Φ0.3mmの薄肉パイプ先端に、ランセット形状の針先を設けた加工事例です。
- ・研削や切削では、加工時に掛かる力によって変形してしまうような、細い線材やパイプに対しても、精緻な加工を行うことができます。
下のリンクは、フェムト秒レーザ加工機を用いたランセット針先加工の紹介動画です。
曲りやすい小径パイプに、基材に対する熱影響を抑えた、高精度の加工が可能です。微細なスリットや表面凹凸を形成することもできます。
針先加工
レーザー顕微鏡測定
面粗さ測定
「フェムト秒レーザ_針先加工」MOVIE
マイクロ流路の形成(COP樹脂品)
- ・0.5mm幅のマイクロ流路の底面に様々な形状の凹凸を設けた加工事例です。
- ・最適形状を模索するための基礎検討などに活用することができます。
マイクロ流路プレート(部品図)材質:COP
① フラット Flat | |
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② サークル Circle | |
③ ピラミッド Pyramid | |
④ テトラ Tetra | |
⑤ スプライン Spline | |
⑥ ダイヤ Diamond |
フェムト秒レーザー加工機の仕様
項目 | 仕様 |
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波長と最大出力 | 1030nm(基本波) 20W 515nm(2倍波) 10W 343nm(3倍波) 5W |
加工品寸法 | パイプΦ0.5~Φ4mm 幅200mm×奥100mm以下 |
加工軸 | X-Y軸移動(吸着ステージ) Z軸移動(レーザー照射ユニット) 回転チャック(上下角度調整可) |
最小加工寸法 | 溝幅 10μm 穴加工Φ10μm (5°テーパー) |
フェムト秒レーザー 精密加工・受託加工についてよくある質問
- フェムト秒レーザーで試作品の加工をお願いできますか?
- 試作加工に対応します。金型が不要であり、複数の形状を試作して、形状の効果を比較することも容易です。
例:ニードルの針先加工、マイクロ流路 - フェムト秒レーザーを使った加工品を受け取れるまでの時間はどのようになりますか?
- 金型や治具など、事前の準備物やその脱着にかかる時間も少なくなり、一般的には短縮できます。
- フェムト秒レーザーはどのような加工の引き合いが多いですか?
- 微細な加工を得意とすること、加工に伴う素材特性の変化や汚染を抑えた加工ができることなどから、医療デバイスや分析機器、半導体製造装置用の部品などからの引き合いを多数いただいております。